今は放課後。下校をした人もいるが、部活中の人が大勢だ。
ここは、部活中の男子テニス部。

跡部 「・・・・・・。」
芥川 「跡部、どうしたの〜?元気無いじゃん。」
日吉 「そういえば、いつもと違いますね。」
樺地 「・・・ウス。」
向日 「跡部が元気無いなんて、今日は雨降るんじゃねぇの?」
跡部 「あ〜?!別に俺は・・・。」

どうやら、部長の跡部が、いつもと違う様子。

宍戸 「たまには、休んどけよ。」
鳳 「そうですよ。無理しちゃダメです。」
跡部 「だから、俺は無理なんかして・・・。」
忍足 「跡部、“あの子”が来てへんからやろ?」
跡部 「は・・・?」
日吉 「そういうことですか。」
向日 「なんだ。そんなことかよ〜。」
宍戸 「心配して、損したぜ・・・。」
跡部 「なんでこの俺様が、あんな奴を気にしなきゃ、なんねぇんだよ。」
芥川 「そういえば、“あの子”来てないね。珍C!」
鳳 「学校には来てたハズですけど・・・。だよね、樺地。」
樺地 「ウス。」
忍足 「“あの子”なら、さっき、何人かの女子とあっちの方、行ったで。」
跡部 「(あっち・・・。)」
芥川 「あれ、跡部。どこ行くの〜?」
跡部 「どこだって、いいだろ。」
日吉 「・・・行っちゃいましたね。」
向日 「『どこだって、いいだろ』って言ってたけど、どうせアイツの所行ったんだろうな!」
宍戸 「跡部の奴、激ダサだぜ。」
鳳 「まぁ、あれが跡部先輩ですから。」
樺地 「・・・ウス。」
忍足 「でも、気になる子が複数の女子と“あっち”行ったら、誰だって心配やろ?」

“あっち”とは、校舎と校舎の間。そこは、周りからは見えない。要するに、いじめをするには絶好(?)の場所なのだ。
それから、さっきから話に出てくる“あの子”とは・・・。

“あの子”の名前は 。学年は2年だから、跡部の1つ年下だ。
最初は、「うち、テニス大好きなんです!氷帝の男テニって、強いんですよね?これから、見学とかしても、いいですか?」って言っていたけど、いつの間にか、跡部目当てになっていた。
これは、昨日のこと・・・。

 「跡部先輩〜!」
跡部 「・・・なんだよ。」
 「そんな、避けないで下さいよ〜。今日は、ランキング戦だから、応援しに来たのに〜。」
跡部 「応援なんて、いらねぇ。」

〜試合後〜
忍足 「跡部、今日調子よかったなぁ。」
向日 「がいたからじゃねぇの?(笑)」
 「ホントですか〜?!じゃ、明日も来ますね〜!」
跡部 「来なくていい・・・。」

と、いつもこんな感じなのだ。


――あんな奴、気にしてなんかいないと思っていた。なのに、アイツがいじめられてるかもしれないと聞いて、心配してしまった・・・。・・・俺が、自分の気持ちに、気付いてなかっただけなのか・・・。――


女1 「あんた、跡部様の何なわけ?」
 「別に何でもないですけど・・・。」
女2 「何でもないのに、なんで近付いてんのよ!」
 「だって・・・。うちは、跡部先輩が好きやから。」
女3 「それで、跡部様の邪魔になってない、とでも思ってんの?」
 「邪魔はしてませんから。」
女4 「あんたの存在が邪魔なの。」
 「それは、本人に聞いたんですか?」
女4 「そんなの見ればわかるじゃない。」
女3 「頭オカシイんじゃない?」
女2 「強い衝撃を、頭に与えれば、治るかも。」
女3 「やってみる・・・?」
女1 「そうね・・・。」
跡部 「おい、お前ら。その辺にしとけ。」
女2 「あ、跡部君?!」
 「跡部先輩・・・!」
跡部 「今日も来るんじゃなかったのか?」
 「は、はい。行きます!」
女2 「ちょっと待って、跡部君。今、この子は私たちと話してて・・・。」
跡部 「・・・俺は、コイツの事を1度でも邪魔だと思ったことはねぇ。」
女1 「・・・!聞いてたの・・・?」
跡部 「これで十分だろ。」
女1 「・・・・・・・・・。」
 「跡部先輩!・・・一緒に行ってもいいですか?」
跡部 「勝手にしろ。」

 「跡部先輩、ありがとうございます!・・・それより、いつから聞いてたんですか?うちが、跡部先輩のこと好きだ、って言ってたのも、聞いてたんですか?」
跡部 「あぁ。」
 「うわ〜!恥ずかし・・・。」
跡部 「今も言ってたじゃねぇか。」
 「あっ。そうでした。跡部先輩は、うちのこと、どう思ってるんですか?」
跡部 「さぁな。」
 「助けに来てくれたってことは、期待してもいいんですか?」
跡部 「いいんじゃねぇの。」
 「もう。はっきり言ってくださいよ〜!・・・まぁ、うちは、そんな跡部先輩が好きなんで、いいですけどネ。」
跡部 「バーカ。」


――その日から、うちは、毎日、跡部先輩と共に登下校。どっちも「付き合おう」なんて言ってないけど。でも、跡部先輩が「敬語を使わなくてもいい。」って言ってくれたし、うちは、ちゃっかり、「景吾」って呼んでる。それでも、景吾は文句を言わないし、うちのことを「アイツ」とかじゃなくて、ちゃんと「」って呼んでくれる。今は、それで十分だ。・・・今はネ?













 

ヒロインが生意気ですな・・・;;年上の跡部さんを下の名前で呼び捨てとは・・・。恐るべし(笑)。
でも、私の周りの男子は先輩を「○○くん」って呼んでたし、私も呼んだことのある先輩はいますし。友達で「○○くん」がいいなら、付き合えば呼び捨てぐらい、いいのかもしれませんね。

まぁ、やっぱり、昔の作品なので、ツッコミ所は満載ですが・・・(汗)。
前回(「Gentle」)よりかはマシかなぁと思っております。
ってか、この話って何気に、キャラがいっぱい出てる・・・。日吉がこういう話に絡んでくるなんて珍しい・・・(笑)。